世の中にはすべて裏腹があります。
裏腹を辞書で調べると、
① 背と腹。また、裏と表。
② 背中合わせ。隣り合わせの関係であること。
③ 相反していること。また、そのさま。逆さま。反対。あべこべ。
と、書いてありました。
ここで使う裏腹とは、②の隣り合わせの関係という意味です。
例えば
「美味しいものを沢山食べたい⇔太る・健康に悪い」
という風に、世の中は常に裏腹な関係があります。
裏腹は建築にもあります。
建築の裏腹
耐震性を高めたい | ⇔ | 可変性に欠ける(リフォーム時など) |
流行のデザインのいい家にしたい | ⇔ | 昔流行ったデザインの家になる |
断熱性の高い家にしたい | ⇔ | 屋根や壁内が結露しやすくなる |
高気密な家にしたい | ⇔ | 換気に不安が残る |
導線のいい・バリアフリーにしたい | ⇔ | 足腰が弱る |
収納スペースを多くとりたい | ⇔ | 延べ床面積が増える |
光を多く取り入れたい | ⇔ | 夏暑い家になる |
デザインに凝りたい | ⇔ | コストアップになる |
基礎を高くしたい | ⇔ | 玄関ポーチの段数が増える |
無垢材を使いたい | ⇔ | 傷付きやすく、汚れやすい |
新建材を使いたい | ⇔ | 化学物質が怖い |
このように、必ず裏腹があります。言い換えると「陰」と「陽」ともいえると思います。しかし住宅会社は「陽」の部分しか言いませんので、施主側もついつい「陽」の比較のみして住宅会社を決めてしまっています。
また、本来建築は「個人の設計者が責任を持って設計するもの」なのですが、現代建築は建築の知識をさほど持っていない営業マンが接客する時代です。
ですから、施主側もある程度の知識を持たないといけない時代になってしまいました。
しかし、世の中を見渡すとそのようなPCサイトや本などは中々見当たりません。そこで、なるべくわかりやすく知識を持って頂くために、このコラムを書くことにしました。
どうぞ、家づくりの参考にしてください。
永森 裕章